正式には深夜における酒類提供飲食店営業という名称で、深夜(午前0時から午前6時までの時間)において、設備を設けて客に飲食させる営業のうち、客に酒類を提供して営む営業(営業の常態として、通常主食と認められる食事を提供して営むものを除く)をいいます。
少しわかりにくいですが深夜営業でも通常主食として認められるラーメン屋、定食屋さん、ファミリーレストラン、牛丼屋などは届出の必要はありません。
深夜酒類提供は根拠法は風営法になっていますが風俗営業とは似て非なるものです。
あくまでお酒をメインに深夜、朝までの飲食店を営業する際に必要な届出を深夜における酒類提供飲食店営業営業開始届出といいます。
届出書一式は営業を開始しようとする10日前までに、所轄の警察署の担当窓口に提出しなければなりません。
①まず一番最初にお店の物件を決めますが、なるべく営業者(個人・法人)の名義で契約をしていもらうと開業までスムーズです。
(別名義で契約していると別途大家さんから使用承諾書を貰わなくてはいけない為)
②お店が決まれば調理場・水回りを確認します。(詳しくは飲食店営業許可)
③問題なければすぐに管轄の保健所へ飲食店営業許可申請をします。
申請の際に食品衛生責任者をたてるのですが、もし居なければ後日営業者さん、又は店長さんに講習に行って頂きます。
④申請後数日で保健所の職員さんがお店の検査を行い問題なければ10日前後で飲食店営業許可書が発行されますのでこの時点で0時までの営業は可能になります。(詳しくは飲食店営業許可)
⑤同時進行でお店の内装、スピーカーやモニターの音響設備、イス、テーブル客室部分が完成していれば店内を測量して図面を作っていきます。
⑥同時に必要書類を作成し警察署の保安課にアポを取り届出となります。
⑦正式に受理されれば10日後0時以降も営業可能な深夜酒類提供営業となります。
開業までには保健所、警察署の2つをクリアし最短の営業を目指します。
物件契約後に食品衛生責任者の準備やお店の内装、水回り設備などで時間がかかってしまう場合もよくあるので開業される方は早めの準備をされるのが良いです。
深夜酒類提供の届出でもっとも注意しなければいけないのが用途地域です。
不動産屋を回りようやく店舗を借りても、その場所が住居集合地域であれば深夜営業できません。
住居集合地域とは「第1種低層住居専用地域」「第2種低層住居専用地域」「第1種中高層住居専用地域」「第2種中高層住居専用地域」「第1種住居地域」「第2種住居地域」「準住居地域」「田園住居地域」を指します。
簡単に説明すると(住居)とつく用途地域には開業できません。
用途地域が工業地域、準工業地域、商業地域、近隣商業地域であれば深夜営業可能となります。
店舗賃貸契約する前に予定店舗が規制に引っかかってないかご確認下さい。
深夜の営業にあたり禁止事項があります、守らなければ罰則、罰金、行政処分、営業停止などがあります。
〇接待行為
〇客引き行為
〇客引き行為やそれに準ずる行為 (昨今非常に摘発が増えていて罰金も上がり生活安全課も力を入れています)
〇午後10時以降、18歳未満のものを営業所で接客業務をさせる事
〇午後10時以降、18歳未満のものを客として営業所に立ち入らせる事
〇20歳未満のものに酒やタバコを提供する事
〇深夜0時以降に遊興をさせない (客にカラオケをすすめる、ダーツ大会、ゲーム、競技等をして盛り上げる)
客引き行為は【6ヶ月以下の懲役、100万円以下の罰金、又は併科】
18歳未満の者を客に接する業務に従事させることや客として立ち入らせることは、【1年以下の懲役、100万円以下の罰金又は併科】
ガールズバー等で18歳未満を雇い摘発される事例が多くなっています。かわいい女の子を少しでも多く雇って売り上げを上げたい店舗とお小遣い稼ぎでガールズバーなら、と気軽に紹介などで行く18才未満も多いみたいなので特に注意しなければなりません。
特に都内では青少年に係る案件に警察は厳しく目を光らせています。
深夜酒類提供飲食での接待行為は禁止されています。
①深夜酒類提供営業、飲食店営業共通の規則
雇用主の場合
雇用主が自己の事業に関して、次のような外国人を就労させると出入国管理及び難民認定法(入管法)により、3年以下の懲役若くは300万以下の罰金が科せられます。
懲役と罰金を両方かけられることもありますが、事業として活動している法人についても罰金が科せられます。
〇日本に不法入国したり、在留期間を超えて不法に残留したりするなどして、正規の在留資格を持たない外国人
〇正規の在留資格を持っている外国人でも、その資格で認められた以外の活動を無資格で行って就労している外国人
外国人の場合
不法就労している外国人は、3年以下の懲役若くは禁錮若しくは300万以下の罰金が科せられ、日本から強制退去させられます。
②深夜酒類提供営業、風俗営業共通
風俗営業等に係る人身取引の防止の為の規定
深夜酒類提供営業、接待飲食店営業を営む者は、その営業に関し客に接する業務に従事する従業員の国籍、就労資格等を確認し確認の結果を書面により保存しなければならない
確認義務を怠ると風営適正化法により、100万円以下の罰金が科せられます。
①談笑、お酌
特定少数の近くで、継続して、談笑の相手となったり、お酌や酒等の飲食物を提供する行為は接待に当たるとされています。
しかしなお酌や水割りを作るが速やかにその場を離れたり、カウンター内で酒類等を提供するだけの行為、それに付随し社交礼儀上の挨拶を交わしたりする程度の行為は接待に当たらない。
②ショー等
特定少数の客に対して、客室内の区画された場所でショー、歌舞音曲などを見せ、又は聞かせる行為は接待に当たる。
しかしホテルのディナーショーのような不特定多数の客に対し同時に聞かせ、見せる行為は、接待に当たらない。
③歌唱
特定少数の客の近くで、歌う事を勧めたり、若しくは客の歌に手拍子をとり、拍手、盛り上げ褒めはやす行為又はデュエットをするなどの行為は接待に当たる。
しかし不特定の客に対し離れた所から歌う事を勧める、若しくはその歌に拍手、褒める行為、不特定の客からカラオケの準備の依頼を受ける行為、歌の伴奏の為の楽器の演奏等は接待に当たらない。【遊興行為に当たる】ジャズバー、カラオケパブ等
④ダンス
特定の客の相手となって、身体に接触しながら客にダンスをさせる行為は接待にあたる。又は客の身体に接触しない場合であっても特定少数の客の近くで一緒に踊る行為は接待にあたる
しかしダンスの技能及び知識を習得させる目的で客にダンスを教授する行為は接待に当たらない【ダンス講師】
⑤遊戯
特定少数の客と共にゲーム、競技等行う行為は接待にあたる【ポーカー、ダーツ等】
しかし客1人、客同士で遊戯、ゲーム、競技等を行わせる行為は直ちに接待に当たるとは言いえない
⑥その他
身体を密着させたり手を握る等客の身体に接触する行為は接待に当たる、又は食事を客の口元まで差出て飲食させるのも接待になる。
しかし社交儀礼上の握手や、コートを脱がせて掛ける行為、酔客の介抱の為の必要限度の接触は接待に当たらない。
このように接待と遊興行為は場面によって変わってくるので曖昧な部分が非常にあります。
特定少数なのか不特定の客なのか、誰が言い出しっぺで、どう対応するのかで接待になるので常に注意が必要になります。
風俗営業法による接待行為と遊興行為の解釈基準は難しく、違いが曖昧で漠然としているので注意すべきポイントをしっかりおさえておかなければなりません。
遊興行為の定義は、【店側の積極的な行為によって客に遊び講じらせること】、となっており例えばカウンターで客がスマホゲームをしていたり、客同士が自分たちで用意したモノで遊ぶ分には遊興行為に該当しません、しかしお店が用意したカードやゲームで遊ばせると【店側の積極性】に該当する可能性があります。
また遊興行為はができるのは深夜0時までです【風営法第32条第1項第2号、】で【深夜において客に遊興をさせない事】とされています。
①みんなで一緒にカラオケ大会をしましょうは遊興行為にあたり0時まではOKだと解釈されています。「客を褒めはやしたり、手拍子、歌う事を推奨するなど」
では0時以降カラオケはできないのかというと、そうではありません。
不特定の客自らカラオケに曲を入れて歌う分には遊興行為にも当たらないので0時過ぎようが大丈夫です。その際店側がマイクを手渡したり客自ら選曲した曲を店員がカラオケ機に入力するぐらいなら遊興行為には当たりません。
*店員と一緒に歌うのは接待行為に当たる
②不特定多数の客のために歌を歌ったり、ダンス、演奏等を聞かせる行為は遊興行為に該当0時までとなる。
ジャズBARでの生演奏など
*特定少数は接待に当たる。
③デジタルダーツ機等で客に遊ばせる。
*店員と一緒にダーツをするのは接待に当たるので禁止
遊興行為と接待行為の違いとして不特定多数か特定少数のお客を対象としているか、又店側の積極性がポイントの一つです。